動的耐震診断-家を揺らして耐震チェック-

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関東大震災-共振が建物を破壊する-

地盤と建物の相性
 被害状況 下町 山の手
木造建築物 10%~30% 1%前後
土蔵 5%以下 5%~20%

関東大震災の時、民家や蔵は大被害を受けたが、下町と山の手では被害状況は大きく異なっていた。下町では木造建築の被害が多く土蔵はわずか。これに対し、山の手では木造建築は少なく土蔵の多くが壊れた。これは、地盤の軟らかい下町では地盤がゆっくり揺れて、木造建築が共振を起こしやすく、地盤の固い山の手では地盤が小刻みに揺れて、土蔵のようながっちりとした建物が地盤と共振して、壊れたためと考えられている。地盤は地震によって大きく震動する周期と震動しない周期が混在しており、これを地盤の「応答特性」と呼んでします。また、建物も地盤と全く同じように「応答特性」をもっており、地震の発生により両者の特性が重なり合い「共振」現象を起こし、建物は何倍にも増幅されて振動し、被害を一層大きくしたものと分析されています。現在の住宅は、殆どが地震対策として剛構造となっています。しかし、例え剛構造であっても、地盤と組み合わさった場合、必ずしも地震に強いとは言い切れません。地盤調査で「応答特性」を把握し、「共振」に留意した設計も肝要です。

固有周期

建物を揺らした時、おのずと生じる振動の周期。建物ごとに固有周期を持ち、それに合った 周期の波を持った地震がくれば、建物は共振を起こして、建物の揺れはだんだん大きくなる。 逆に固有周期に合わなければ、共振は生じない。軟弱な地盤の周期は1~2秒程度、堅固な地盤 ほど周期は短くなる。つまり、共振を断ち切る設計として、小刻みに揺れる固い地盤の上には 柔軟な建物、逆にゆったりとした大きな揺れを引き起こす軟らかい地盤には、小さく小刻みに 揺れる堅牢な建物を建てれば比較的地震に強くなる。

最先端のテクノロジーを駆使して、地震災害を解析

技術審査証明書を取得…表面波探査機 GO-21システム【地盤の応答特性調査を含む】

 表面波は地震波の一種です。人口震源(起震機)により地表面に上下振動を与えます。その振動は地中を水平方向に電波していきます。その際、地震波の伝播する深さが周波数により規制される「分散性」を有しています。表面波の速度は地表面に設置した、2個の検出器により検出された時間差と、検出器間の距離により求められます。このデータにより各地層ごとの「支持力」を算出し、更に「即時沈下量」や地震時の「液状化」予測などを推定する事ができます。また地震時の地盤の「応答特性」が明確に解析できますので、建物の設計に重要なデータとして、お役に立つ事ができます。

木造住宅の耐震性能判定…耐震強度計測装置 DYNAS【建物の応答特性調査を含む】

 2~3階建ての木造住宅が対象。住宅の2階の床に動電型の建物用起震機を設置し、実際に震度1~2の地震を発生させ、建物にどういう影響を与えるかを計測しデータを解析します。その結果から、「建物全体の硬さ・揺れやすいかそうか」「「建物各部の硬さのバランス・揺れ方のバランスチェック」が数値で出ます。この数値は地震時における建物の「応答特性」を表しており、被検住宅はその程度の地震まで安全なのか、どれだけ補強をすればいいのか「設計データ」として提供します。このように図面や目視では困難とされる既存住宅の地震対策にも、信頼性の高い情報を提供することができる。一方、新築住宅においては、地盤の「応答特性」を調査し、更に建物と共振することが無い様に、耐震、制震、免震、減震などの対策工法の選択、「設計データ」として活用できます。

振動調査

地震と振動の大きさ

公害振動の大きさを地震の震度階に置き換えて考えて見ましょう。振動の大きさを75デシベル、8ガルと例えるよりも震度2と3の境付近の揺れと例えた方が、揺れの大きさを想像できるのではないでしょうか。振動調査の単位はデシベルとして報告されますが、地震の震度階に置き換えた場合の比較表が下記です。

気象庁震度階級と振動レベルの関係

震度階級 人の感覚 屋内状況 振動(デシベル) 加速度(ガル)
1 揺れ僅かに感じる。 55~65 0.8~2.5
2 大半が揺れを感じる。 吊り下げ物が僅かに揺れる。 65~75 2.5~8
3 殆どが揺れを感じる。 棚の食器が音を立てる事がある。 75~85 8~25
4 殆どの人が驚く。 吊り下げ物が大きく揺れ座りの悪い置物が倒れる事がある。 85~95 25~80
5弱 大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 揺れ座りの悪い置物が倒れ、家具が移動する事がある。 95~105 80~250
5強 大半の人が物につかまらないと歩くことが難しい。 食器や棚の本が落ち、タンスなどが倒れる事がある。
6弱 立つことが困難。 固定していない家具の大半が移動し倒れるものもある。 105~110 250~400
6強 這わないと動けない。 固定していない家具の殆どが移動し倒れるものが多くなる。
7 自分の意思で行動できない。 殆どの家具が大きく移動し飛ぶ物がある。 110以上 400以上

道路交通振動に係る基準

地域区分 公害としての要請限度
1 第1種・第2種低層住居専門地域 昼間(7時~20時) 65デシベル
第1種・第2種中高層住居専門地域
第1種・第2種住居地域 夜間(20時~翌朝7時) 60デシベル
準住居地域
2 市街化調整地域 昼間(7時~20時) 70デシベル
近隣商業地域
商業地域 夜間(20時~翌朝7時) 夜間(20時~翌朝7時)
準工業地域
工業地域

道路交通振動を地震の震度階級に置き換えると、震度1~2の範囲に相当する。

地盤種別

Tc:建築物の基礎底部(剛強な支持杭を使用する場合にあっては、当該支持杭の先端)の直下の地盤の種別に応じて、

次の表に揚げる数値(単位:秒)

地盤種別 定義 地盤周期Tc(秒)
第1種
(良好)
岩盤、砂質砂礫その他主として第3期以前の地層によって構成されるもの、又は地盤周期についての調査若しくは研究結果に基づき、これと同程度の地盤周期を有すると認められたもの。 0.4
第2種 第1種地盤及び第3種地盤以外のもの 0.6
第3種
(注意)
腐植土、泥土その他これらに類するもので大部分が構成されている沖積層(盛土がある場合においてはこれを含む)で、その深さがおおむね30m以上のもの、沼沢、泥海を埋め立てた地盤の深さ概ね3m以上であり、これらが埋め立てられてから概ね30年経過していないもの、又は地盤周期について調査若しくは研究結果に基づき、これらと同程度の地盤周期を有すると認められるもの。 0.8

軟弱地盤はよくゆれる

沖積層の軟弱地盤は一般的に水分を多く含むことから良く揺れるといわれています。交通振動等で揺れる地盤は、地震動において注意が必要な地盤と考えるべきです。軟弱地盤における不同沈下対策だけではなく、常時体感する事になるかもしれない交通振動、そして地震動のことにも留意した建物計画をお勧めします。安心できる住宅づくりとして、振動調査をご検討ください。

交通振動の計測

建設工事の振動計測 ⇒ 交通振動が気になる方、ぜひ振動調査を!
地震動の分析

振動調査で判ること・・・調査地の交通振動の実測値。「何デシベル」であるかが判ります。
震動調査で判ること・・・地震動の揺れやすさの程度及び地盤周期。地盤種別の判定(第1種~第3種)

交通振動対策、地震動対策はこちらをご覧下さい。